おかゆくらいまずい飯だけ
『ことばの食卓』武田百合子
この1年は食にまつわるエッセイも読めるようになった。料理のことばといえば、レシピとか、味の感想とか。でもそういうのがほとんどなく、食事の周りをぐるぐるまわっていた。なにもおいしそうなものは出てこなかった。飯がキモイで連想されるヤン・シュヴァンクマイエル。武田百合子は彼のように食に取り憑かれている?わけでもなく。子どものときに気持ち悪いものを見ちゃった気になった感覚のまま文章を書いている。ように読めて好き。
終わりなき平成
『こちらあみ子』今村夏子
読み始めは頬をほころばせたまにくすくす笑ったりもしたが、中盤気持ち悪すぎて笑えなくなってくる。これを笑っちゃダメでしょと人間の生まれ持っての倫理観が警告している。こいつを笑っても蔑んでも憐れんでもいけない。周りがけむたがる存在。毎回そんなひとばかりいるのにどの短編も慣れずにずっと気持ち悪い。
ノリちゃんノリノリ
『あひる』今村夏子
通勤と退勤の1日で読めるような軽い文なのにインフルエンザで1週間休養する小学五年生の冬くらい体を支配した。大人という生き物はいない。老成はない。子どもが長く生きているだけ。